2007年01月16日
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オープントーナメント2004 全日本太道選手権大会 速報
主催 日本太道連盟 奥旨塾
去る11月21日(日)、京都市武道センターにおいてフルコンタクトオープントーナメント2004全日本太道選手権大会が開催された。予選を勝ち抜いた他流派を含む32名の選手が午後の本選に駒を進めた。その中、ベスト8まで勝ち上がったのは山中雅博(奥旨塾本部)、前田信之(奥旨塾本部)、森田淳平(奥旨塾本部)、渡部靖史(奥旨塾大阪)、広瀬詩恩(奥旨塾本部)、西崎幹人(京都造形大学太道部)、赤尾利典(奥旨塾本部)、河野優一(佛教大学太道部)と太道勢が独占し、他流派の進出を許さなかった。
準々決勝第一試合は、昨年の太道広島大会で重量級の準優勝者の山中と、同じく昨年の体重別太道選手権大会重量級第三位の前田との対戦。いきなりハイキックをヒットさせる山中だが、前田はノーダメージ。お互いに様子を窺がった後、山中がパンチのコンビネーションを繰り出し前田の顔面にヒットするものの、体重のある前田にはあまりダメージを与えられない。ベテラン前田は山中の強烈なパンチの連打を冷静にガードしながら、ボディへのパンチ、ローキックのコンビネーションで激しい応戦に出るが、時間の経過とともにパンチの狙いに正確さが欠け始め、スタミナ切れが見え始める。隙を突いた山中が激しい顔面パンチの連打を放ち、追い詰められた前田思わず場外へ。最後まで勢いの変わらなかった山中の勝ちとなる。
第二試合は昨年の体重別太道選手権大会重量級の覇者、森田と今年の同大会軽量級の覇者、渡部との対戦。両者身長差はあまり無いものの体重差は20キロ近くあり、見どころある試合のひとつとなった。渡部がいきなり顔面にパンチを放ちハイキックを仕掛けるもののカットされ転倒するが、再びボディーへのパンチとミドルキックの猛攻撃を繰り出す。落ち着いた動きでガードに徹していた森田が隙をついて強烈なミドルキックをヒット、渡部を再び転倒させる。続いて今度は森田が強烈なパンチのラッシュで応戦する。必死のガードに徹しながら相手の懐に飛び込む渡部だが、そこへ森田のアッパー、続いて膝蹴りが渡部のボディーに炸裂。森田が優勢になりかけたところでタイムアップ。判定は引き分けとなる。続く延長戦でははじめから森田のペースで試合が展開される。応戦する渡部だが、今ひとつ距離が届かず、あまいパンチしか繰り出せない。そこへ森田得意の強烈なハイキックがクリーンヒット、続いてボディーへの膝蹴り、ローキック、再び左のハイキックとまったく攻撃を緩めない。ボディーへの強烈なダメージを受けた渡部は姿勢をかがめて耐えながらパンチを放つが正確さに欠ける。そこへ森田のパンチの連打、とどめの右ハイキックが渡部の顔面を捉えたところでタイムアップ、判定で森田の準決勝進出が決まる。
第三試合は今年の体重別大会重量級の覇者、広瀬と今年の太道学生選手権大会の覇者、西崎との対戦である。長身の西崎はまったく隙の無い広瀬に高い位置からのパンチとミドルキックの攻撃を展開する。無駄の無い動きで巧みにかわす広瀬に対して、今度は姿勢を低く構え顔面にパンチをヒットさせ、続いて強烈な膝蹴り、ミドルキックの連打を放つ。広瀬はガードに徹したままなかなか思うような攻撃ができず、思わず転倒。仕切りなおした後再び低い位置からボディーへのアッパーを相手に浴びせる西崎だが、はじめから動きが激しかっただけにスタミナ切れが見え始め、機を見計らっていた広瀬がここで猛攻撃に転じ、広瀬のパンチが西崎の顔面を捕らえたところでタイムアップ。判定で引き分けとなる。続く延長戦ではお互い激しいパンチの打ち合いで始まるが、西崎はその長身を生かして膝蹴りを相手の顔面に連打させ、相手がひるんだ所でローキックを炸裂させる。たまらず広瀬は座り込み、あっけなく西崎の一本勝ちとなった。
準々決勝最後の試合は今年の体重別大会中量級の覇者、赤尾と同大会軽量級の準優勝者河野との対戦。安定した構えで隙の無い赤尾に対して、果敢にミドル・ハイキックの攻撃を仕掛ける河野だが、赤尾にきれいにかわされる。対して赤尾は相手の出方を窺いながらミドルキック、瞬発力のあるボディーへのパンチを確実にヒットさせていく。とにかく攻撃に出る河野と隙の無い赤尾の、対照的な動きで展開される試合となった。機を見計らった赤尾は猛烈な顔面へのパンチのラッシュに加え、得意とする正確なハイキックで相手の動きを封じる。河野も相手の顔面へパンチのラッシュで応戦。一度仕切りなおした後、相手の隙をついた赤尾の顔面ストレートが河野を捉えるが、河野もキックのコンビネーションで相手の動きを阻む。両者互角のままタイムアップ。引き分けとなる。延長戦ではより積極的に攻撃を仕掛ける河野だが、赤尾のガードは固く思うようなヒットに至らない。そこへ赤尾が突発的に顔面へのストレート、ボディーへのアッパーのパンチのラッシュを仕掛け、不意を突かれた河野は場外近くへと追い詰められるが、かろうじて逃れる。仕切りなおして一度河野のハイキックが赤尾にヒットするが、またも赤尾のパンチのラッシュに動きを封じられ、場外近くへと追い詰められ、タイムアップ。判定で勢い勝った赤尾の勝ちとなった。
ベスト4が揃い、準決勝第一試合は山中と森田の対戦。体格的にも互角の両者、まずはお互いジャブを放ちながら相手の隙を窺う。顔面ストレートの連打、ローキックを森田が仕掛け、同じタイミングで山中もボディーパンチのラッシュとローキックのコンビネーションで応戦。お互いガードが固く、両者まったく互角。そこへ相手の隙をついた山中のボディーアッパー、ストレートのラッシュが炸裂、森田思わず場外へ追われる。仕切りなおして森田は得意のハイキックと顔面へのパンチの連打で猛攻撃を仕掛けるが、山中のガードで動きを阻まれ、今ひとつ思うような試合運びができないままタイムアップ。判定で、終始ペースの変わらなかった山中が決勝へと駒を進めた。
続く準決勝最終試合は西崎と赤尾との対戦。その身長差20センチ。お互いの対格差を生かした見どころある対戦のひとつとなった。相手の懐に飛び込もうとする赤尾の動きを察していたのか、西崎はとにかく相手が前に出るのを阻む。加えてパンチ、膝蹴り、ミドルで徹底的に赤尾のボディーへの攻撃を仕掛けるが、赤尾のガードも固くダメージを与えることができない。お互いスタミナ切れが見え始めたところでペースの変わらない赤尾が優勢に転じる。相手の隙をつき、西崎の懐へのパンチ、ミドルキックがヒット、西崎はガードに徹し、思うように攻撃ができない体制のままスタミナを消耗、攻撃の正確さに欠け始めたところでタイムアップ。最後まで自分のペースで試合を展開した赤尾が決勝進出を決めた。
替わって先ほどの準決勝に続き、森田と西崎の三位決定戦が行われた。いきなり西崎の激しいパンチラッシュの攻撃に不意を突かれた森田だが、すぐに低い体制でボディーパンチの猛攻撃に転ずる。長身西崎の高い位置からのストレートの連打に阻まれ、相手の懐に飛び込めない森田だが、パンチの狙いは正確で強烈に西崎のボディーにヒットさせていく。西崎も応戦、お互いパンチの打ち合いとなるが、動きの激しい西崎に疲れが見えはじめ、対照的に森田の攻撃がペースアップしてくる。得意のハイキック、ボディーへの激しいアッパー、ストレートのラッシュで西崎を次第に追い詰める。西崎も長身を生かした強烈な膝蹴りの連打で応戦するが正確さに欠けてくる。森田は相手との距離をうまく保ちながら冷静に体勢を立て直したところでタイムアップ。判定は割れたが、主審は引き分けを宣告する。続く延長戦では森田の激しいボディーパンチの連打で西崎思わず転倒する場面もあったが、態勢を立て直し、フットワークの軽さで相手を翻弄させようとする。安定した体勢のままの森田は正確に相手の懐にストレートを決め、加えて瞬発力のある強烈なミドルとハイキックの連打を放つ。クリーンヒットにまでは至らないものの相手のダメージは大きく、パンチの応戦で2人がもつれ合ったところで仕切り直し。西崎の膝蹴りとアッパーを駆使した攻撃は激しいものの、スタミナ切れが目立ち始める。体勢もかがみがちなところへ森田すかさず鉄槌をヒット、疲れが見え始めても狙いは相変わらず正確な森田。対する西崎が自己を奮い立たすような応戦を仕掛けるところで再びタイムアップ。またも引き分け。会場から沸き起こる歓声の中、試合は再延長戦へともつれ込んだ。低い体勢のままの森田に対して西崎最後の力を出し切るような激しい膝蹴りの連打を炸裂。両者ガードを忘れて激しい攻撃の仕掛け合いとなった。そこへ森田が相手の隙をつき懐へアッパーをめり込ませる。これには西崎耐え切れずダウン。森田が一本勝ちで3位入賞をもぎ取った。両者の検討に会場からはおおきな拍手が沸き起こった。
そしていよいよ今大会最後の試合となる決勝戦。対戦するのは山中と赤尾。赤尾にとってはまたも対格差のある相手との対戦だが、長身から繰り出されるパワフルな技の山中と、瞬発力があり正確な技の赤尾との、個性あふれる両選手の見どころある対決となった。お互い相手の出方を窺いながら、ボディーへのパンチ、ローキックの掛け合いで始まる。間で赤尾は長身の山中へのハイキック、ボディーへのストレートを炸裂させるが、相手のダメージにはつながらない。山中のストレートが赤尾の顔面にヒットする場面もあったが、赤尾はひるまず、相手の懐に飛び込みボディーへパンチのラッシュで応戦する。しかし山中のガードは固く、赤尾の攻撃を封じながら次第に場外近くへと追い詰め、赤尾が転倒したところでタイムアップ。試合の流れがどちらとも取れず引き分け。続く延長戦では相手の出方を見極めた後、お互い顔面を狙った激しいワン・ツーを打ち合う。再び山中が大きな体躯で赤尾の動きを封じながら場外近くへ追い詰めるが、判定には至らず。仕切り直して、こんどは一転してお互い慎重な動きで顔面やボディーへのアッパーを打ち合う。またも赤尾が山中にハイキックをヒットさせるが、相手のダメージは小。両者一歩も譲らず、まったく互角のまま再びタイムアップ。勝負は再延長戦へともつれ込んだ。続く再延長戦では両者一転して激しいパンチの打ち合いに始まる。両者ともにスタミナ切れが見え始めたときスピーディーな赤尾のハイキック、顔面へのフックが続けて山中にヒット。ダメージを受けた山中はこれがきっかけで動きが悪くなる。疲れは見えるものの終始ペースの変わらない赤尾だが、パンチの狙いやスピードが鈍くなってきたところへ山中の強烈なストレートとフックが赤尾の顔面を捉える。赤尾も疲労と戦いながら冷静にローキックとパンチの連打で応戦に出たところで再度タイムアップ。再び主審は引き分けを宣告し、会場からは大きな拍手と歓声が沸き起こる。試合の行方は再々延長戦まで持ち越されることになった。両者極限までスタミナを使い果たした状態で再度試合に臨む。お互い相手の様子を伺い、隙を突いて激しいパンチとローキックのラッシュを放ちながら決定打の機会を窺う。そして山中のストレートが赤尾の顔面にクリーンヒット、赤尾は冷静に体勢を立て直し応戦に転じる。お互い疲労がピークに達する中、山中は赤尾の前進を徹底した顔面へのパンチのラッシュで封じ込め、再び場外近くまで追い詰めたところでタイムアップ。最後まで猛攻撃の態勢を緩めなかった山中が僅差で初の栄冠を手にした。疲労を押して健闘した両者にひときわ大きな歓声と拍手が沸き起こったのは言うまでも無い。
閉会式では表彰が終わったあと、中井宗帥は講評で、「人がテーマを持って何かを目指すことはすばらしい。試合の蹴ったり突いたりという見た目の面白さだけでなく、その奥にある大事なテーマを感じ取ってほしい。弱い自分を自分で認めて、明日の自分を強くする。それぞれの社会の中でそれぞれ価値あることを目指して欲しい。」と締めくくった。今日の結果を踏まえ、来年の各種大会にむけて精進する選手たちの、よりすばらしい健闘が期待される。
● 大 会 結 果
男子
優 勝 山中雅博 【奥旨塾本部】
準優勝 赤尾利典 【奥旨塾本部】
第3位 森田淳平 【奥旨塾本部】
第4位 西崎幹人 【京都造形芸術大学太道部】
第5位 前田信之 【奥旨塾本部】
第6位 河野優一 【佛教大学太道部】
第7位 渡部靖史 【奥旨塾大阪】
第8位 広瀬詩恩 【奥旨塾本部】
敢闘賞 田中健吾 【佛教大学太道部】
敢闘賞 林 正義 【京都文教大学太道部】
特別賞 玉野文晃 【奥旨塾柊野】
特別賞 本庄晶人 【京都造形芸術大学太道部】
特別賞 足達慶輔 【奥旨塾本部】
特別賞 藤本浩伸 【奥旨塾山科】
女子
優 勝 冨田知佐 【京都造形芸術大学太道部】
準優勝 田中美帆 【佛教大学太道部】
第3位 中島野梨子【広島県立大学太道部】
第4位 大橋さとか【奥旨塾本部】
文責 奥旨塾本部長 安永憲一
主催 日本太道連盟 奥旨塾
去る11月21日(日)、京都市武道センターにおいてフルコンタクトオープントーナメント2004全日本太道選手権大会が開催された。予選を勝ち抜いた他流派を含む32名の選手が午後の本選に駒を進めた。その中、ベスト8まで勝ち上がったのは山中雅博(奥旨塾本部)、前田信之(奥旨塾本部)、森田淳平(奥旨塾本部)、渡部靖史(奥旨塾大阪)、広瀬詩恩(奥旨塾本部)、西崎幹人(京都造形大学太道部)、赤尾利典(奥旨塾本部)、河野優一(佛教大学太道部)と太道勢が独占し、他流派の進出を許さなかった。
準々決勝第一試合は、昨年の太道広島大会で重量級の準優勝者の山中と、同じく昨年の体重別太道選手権大会重量級第三位の前田との対戦。いきなりハイキックをヒットさせる山中だが、前田はノーダメージ。お互いに様子を窺がった後、山中がパンチのコンビネーションを繰り出し前田の顔面にヒットするものの、体重のある前田にはあまりダメージを与えられない。ベテラン前田は山中の強烈なパンチの連打を冷静にガードしながら、ボディへのパンチ、ローキックのコンビネーションで激しい応戦に出るが、時間の経過とともにパンチの狙いに正確さが欠け始め、スタミナ切れが見え始める。隙を突いた山中が激しい顔面パンチの連打を放ち、追い詰められた前田思わず場外へ。最後まで勢いの変わらなかった山中の勝ちとなる。
第二試合は昨年の体重別太道選手権大会重量級の覇者、森田と今年の同大会軽量級の覇者、渡部との対戦。両者身長差はあまり無いものの体重差は20キロ近くあり、見どころある試合のひとつとなった。渡部がいきなり顔面にパンチを放ちハイキックを仕掛けるもののカットされ転倒するが、再びボディーへのパンチとミドルキックの猛攻撃を繰り出す。落ち着いた動きでガードに徹していた森田が隙をついて強烈なミドルキックをヒット、渡部を再び転倒させる。続いて今度は森田が強烈なパンチのラッシュで応戦する。必死のガードに徹しながら相手の懐に飛び込む渡部だが、そこへ森田のアッパー、続いて膝蹴りが渡部のボディーに炸裂。森田が優勢になりかけたところでタイムアップ。判定は引き分けとなる。続く延長戦でははじめから森田のペースで試合が展開される。応戦する渡部だが、今ひとつ距離が届かず、あまいパンチしか繰り出せない。そこへ森田得意の強烈なハイキックがクリーンヒット、続いてボディーへの膝蹴り、ローキック、再び左のハイキックとまったく攻撃を緩めない。ボディーへの強烈なダメージを受けた渡部は姿勢をかがめて耐えながらパンチを放つが正確さに欠ける。そこへ森田のパンチの連打、とどめの右ハイキックが渡部の顔面を捉えたところでタイムアップ、判定で森田の準決勝進出が決まる。
第三試合は今年の体重別大会重量級の覇者、広瀬と今年の太道学生選手権大会の覇者、西崎との対戦である。長身の西崎はまったく隙の無い広瀬に高い位置からのパンチとミドルキックの攻撃を展開する。無駄の無い動きで巧みにかわす広瀬に対して、今度は姿勢を低く構え顔面にパンチをヒットさせ、続いて強烈な膝蹴り、ミドルキックの連打を放つ。広瀬はガードに徹したままなかなか思うような攻撃ができず、思わず転倒。仕切りなおした後再び低い位置からボディーへのアッパーを相手に浴びせる西崎だが、はじめから動きが激しかっただけにスタミナ切れが見え始め、機を見計らっていた広瀬がここで猛攻撃に転じ、広瀬のパンチが西崎の顔面を捕らえたところでタイムアップ。判定で引き分けとなる。続く延長戦ではお互い激しいパンチの打ち合いで始まるが、西崎はその長身を生かして膝蹴りを相手の顔面に連打させ、相手がひるんだ所でローキックを炸裂させる。たまらず広瀬は座り込み、あっけなく西崎の一本勝ちとなった。
準々決勝最後の試合は今年の体重別大会中量級の覇者、赤尾と同大会軽量級の準優勝者河野との対戦。安定した構えで隙の無い赤尾に対して、果敢にミドル・ハイキックの攻撃を仕掛ける河野だが、赤尾にきれいにかわされる。対して赤尾は相手の出方を窺いながらミドルキック、瞬発力のあるボディーへのパンチを確実にヒットさせていく。とにかく攻撃に出る河野と隙の無い赤尾の、対照的な動きで展開される試合となった。機を見計らった赤尾は猛烈な顔面へのパンチのラッシュに加え、得意とする正確なハイキックで相手の動きを封じる。河野も相手の顔面へパンチのラッシュで応戦。一度仕切りなおした後、相手の隙をついた赤尾の顔面ストレートが河野を捉えるが、河野もキックのコンビネーションで相手の動きを阻む。両者互角のままタイムアップ。引き分けとなる。延長戦ではより積極的に攻撃を仕掛ける河野だが、赤尾のガードは固く思うようなヒットに至らない。そこへ赤尾が突発的に顔面へのストレート、ボディーへのアッパーのパンチのラッシュを仕掛け、不意を突かれた河野は場外近くへと追い詰められるが、かろうじて逃れる。仕切りなおして一度河野のハイキックが赤尾にヒットするが、またも赤尾のパンチのラッシュに動きを封じられ、場外近くへと追い詰められ、タイムアップ。判定で勢い勝った赤尾の勝ちとなった。
ベスト4が揃い、準決勝第一試合は山中と森田の対戦。体格的にも互角の両者、まずはお互いジャブを放ちながら相手の隙を窺う。顔面ストレートの連打、ローキックを森田が仕掛け、同じタイミングで山中もボディーパンチのラッシュとローキックのコンビネーションで応戦。お互いガードが固く、両者まったく互角。そこへ相手の隙をついた山中のボディーアッパー、ストレートのラッシュが炸裂、森田思わず場外へ追われる。仕切りなおして森田は得意のハイキックと顔面へのパンチの連打で猛攻撃を仕掛けるが、山中のガードで動きを阻まれ、今ひとつ思うような試合運びができないままタイムアップ。判定で、終始ペースの変わらなかった山中が決勝へと駒を進めた。
続く準決勝最終試合は西崎と赤尾との対戦。その身長差20センチ。お互いの対格差を生かした見どころある対戦のひとつとなった。相手の懐に飛び込もうとする赤尾の動きを察していたのか、西崎はとにかく相手が前に出るのを阻む。加えてパンチ、膝蹴り、ミドルで徹底的に赤尾のボディーへの攻撃を仕掛けるが、赤尾のガードも固くダメージを与えることができない。お互いスタミナ切れが見え始めたところでペースの変わらない赤尾が優勢に転じる。相手の隙をつき、西崎の懐へのパンチ、ミドルキックがヒット、西崎はガードに徹し、思うように攻撃ができない体制のままスタミナを消耗、攻撃の正確さに欠け始めたところでタイムアップ。最後まで自分のペースで試合を展開した赤尾が決勝進出を決めた。
替わって先ほどの準決勝に続き、森田と西崎の三位決定戦が行われた。いきなり西崎の激しいパンチラッシュの攻撃に不意を突かれた森田だが、すぐに低い体制でボディーパンチの猛攻撃に転ずる。長身西崎の高い位置からのストレートの連打に阻まれ、相手の懐に飛び込めない森田だが、パンチの狙いは正確で強烈に西崎のボディーにヒットさせていく。西崎も応戦、お互いパンチの打ち合いとなるが、動きの激しい西崎に疲れが見えはじめ、対照的に森田の攻撃がペースアップしてくる。得意のハイキック、ボディーへの激しいアッパー、ストレートのラッシュで西崎を次第に追い詰める。西崎も長身を生かした強烈な膝蹴りの連打で応戦するが正確さに欠けてくる。森田は相手との距離をうまく保ちながら冷静に体勢を立て直したところでタイムアップ。判定は割れたが、主審は引き分けを宣告する。続く延長戦では森田の激しいボディーパンチの連打で西崎思わず転倒する場面もあったが、態勢を立て直し、フットワークの軽さで相手を翻弄させようとする。安定した体勢のままの森田は正確に相手の懐にストレートを決め、加えて瞬発力のある強烈なミドルとハイキックの連打を放つ。クリーンヒットにまでは至らないものの相手のダメージは大きく、パンチの応戦で2人がもつれ合ったところで仕切り直し。西崎の膝蹴りとアッパーを駆使した攻撃は激しいものの、スタミナ切れが目立ち始める。体勢もかがみがちなところへ森田すかさず鉄槌をヒット、疲れが見え始めても狙いは相変わらず正確な森田。対する西崎が自己を奮い立たすような応戦を仕掛けるところで再びタイムアップ。またも引き分け。会場から沸き起こる歓声の中、試合は再延長戦へともつれ込んだ。低い体勢のままの森田に対して西崎最後の力を出し切るような激しい膝蹴りの連打を炸裂。両者ガードを忘れて激しい攻撃の仕掛け合いとなった。そこへ森田が相手の隙をつき懐へアッパーをめり込ませる。これには西崎耐え切れずダウン。森田が一本勝ちで3位入賞をもぎ取った。両者の検討に会場からはおおきな拍手が沸き起こった。
そしていよいよ今大会最後の試合となる決勝戦。対戦するのは山中と赤尾。赤尾にとってはまたも対格差のある相手との対戦だが、長身から繰り出されるパワフルな技の山中と、瞬発力があり正確な技の赤尾との、個性あふれる両選手の見どころある対決となった。お互い相手の出方を窺いながら、ボディーへのパンチ、ローキックの掛け合いで始まる。間で赤尾は長身の山中へのハイキック、ボディーへのストレートを炸裂させるが、相手のダメージにはつながらない。山中のストレートが赤尾の顔面にヒットする場面もあったが、赤尾はひるまず、相手の懐に飛び込みボディーへパンチのラッシュで応戦する。しかし山中のガードは固く、赤尾の攻撃を封じながら次第に場外近くへと追い詰め、赤尾が転倒したところでタイムアップ。試合の流れがどちらとも取れず引き分け。続く延長戦では相手の出方を見極めた後、お互い顔面を狙った激しいワン・ツーを打ち合う。再び山中が大きな体躯で赤尾の動きを封じながら場外近くへ追い詰めるが、判定には至らず。仕切り直して、こんどは一転してお互い慎重な動きで顔面やボディーへのアッパーを打ち合う。またも赤尾が山中にハイキックをヒットさせるが、相手のダメージは小。両者一歩も譲らず、まったく互角のまま再びタイムアップ。勝負は再延長戦へともつれ込んだ。続く再延長戦では両者一転して激しいパンチの打ち合いに始まる。両者ともにスタミナ切れが見え始めたときスピーディーな赤尾のハイキック、顔面へのフックが続けて山中にヒット。ダメージを受けた山中はこれがきっかけで動きが悪くなる。疲れは見えるものの終始ペースの変わらない赤尾だが、パンチの狙いやスピードが鈍くなってきたところへ山中の強烈なストレートとフックが赤尾の顔面を捉える。赤尾も疲労と戦いながら冷静にローキックとパンチの連打で応戦に出たところで再度タイムアップ。再び主審は引き分けを宣告し、会場からは大きな拍手と歓声が沸き起こる。試合の行方は再々延長戦まで持ち越されることになった。両者極限までスタミナを使い果たした状態で再度試合に臨む。お互い相手の様子を伺い、隙を突いて激しいパンチとローキックのラッシュを放ちながら決定打の機会を窺う。そして山中のストレートが赤尾の顔面にクリーンヒット、赤尾は冷静に体勢を立て直し応戦に転じる。お互い疲労がピークに達する中、山中は赤尾の前進を徹底した顔面へのパンチのラッシュで封じ込め、再び場外近くまで追い詰めたところでタイムアップ。最後まで猛攻撃の態勢を緩めなかった山中が僅差で初の栄冠を手にした。疲労を押して健闘した両者にひときわ大きな歓声と拍手が沸き起こったのは言うまでも無い。
閉会式では表彰が終わったあと、中井宗帥は講評で、「人がテーマを持って何かを目指すことはすばらしい。試合の蹴ったり突いたりという見た目の面白さだけでなく、その奥にある大事なテーマを感じ取ってほしい。弱い自分を自分で認めて、明日の自分を強くする。それぞれの社会の中でそれぞれ価値あることを目指して欲しい。」と締めくくった。今日の結果を踏まえ、来年の各種大会にむけて精進する選手たちの、よりすばらしい健闘が期待される。
● 大 会 結 果
男子
優 勝 山中雅博 【奥旨塾本部】
準優勝 赤尾利典 【奥旨塾本部】
第3位 森田淳平 【奥旨塾本部】
第4位 西崎幹人 【京都造形芸術大学太道部】
第5位 前田信之 【奥旨塾本部】
第6位 河野優一 【佛教大学太道部】
第7位 渡部靖史 【奥旨塾大阪】
第8位 広瀬詩恩 【奥旨塾本部】
敢闘賞 田中健吾 【佛教大学太道部】
敢闘賞 林 正義 【京都文教大学太道部】
特別賞 玉野文晃 【奥旨塾柊野】
特別賞 本庄晶人 【京都造形芸術大学太道部】
特別賞 足達慶輔 【奥旨塾本部】
特別賞 藤本浩伸 【奥旨塾山科】
女子
優 勝 冨田知佐 【京都造形芸術大学太道部】
準優勝 田中美帆 【佛教大学太道部】
第3位 中島野梨子【広島県立大学太道部】
第4位 大橋さとか【奥旨塾本部】
文責 奥旨塾本部長 安永憲一
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